はじめに
仕事を楽しみながら取り組み、結果としてよい成果もあがれば理想的です。簡単にできることではないと思うかもしれませんが、小さな一歩なら踏み出すことはできます。もしその一歩がうまくいけば少し楽しくなり、更に一歩一歩と小さくできることから踏み出して蓄積していくことで、いつの間にか成長できたり、楽しく取り組めたり、成果をあげられるようになっています。
ここでは、その小さな一歩を踏み出し、一歩一歩を積み重ねて成果をあげるために、どのような心構えで望んだらよいのか、重要な5選について解説していきたいと思います。
本記事は、本多静六博士の著書「人生計画の立て方」の「計画実現に望ましい生活態度」を参考にしています。本多博士については筆者の別の記事「仕事や勉強の先回りの努力を続けることで天才よりも成功できる」にも掲載しているので見ていただければと思います。慶応2年(1866年)生まれで研究者としても投資家としても多大な成果を挙げてた方ですが、今でも参考になるような金言がたくさんあります。
結論
仕事で楽しく成果をあげるために重要な心構えとして、今回は次の5つに絞りました。例えば③など、一部、リーダーや未来のリーダー向けの内容と思うかもしれません。でも、この心構えで取り組めば、人から信頼されたり、人望が高くなり、中長期の視点で見れば、皆さんの成果として還元されることになる可能性が高まります。
- 常に心を快活に保つ
- 今ある仕事に全力で励む
- 成功は人に譲って自らは責任を負う
- 善を褒めて悪は問わない
- 人から受けた恩は必ず返す
仕事を前向きに取り組み成果をあげるために重要なこと5選
①常に心を快活に保つ
人は気持ちの持ちようひとつで、楽しい気持ちで過ごすことも、暗くつまらない気持ちで過ごすこともできます。楽しいやつまらないは、主観で決めることなので、皆さん自身が物事をどう捉えるのかで大きく変わってしまいます。
職場の同僚や部下・上司を思い出してみてください。いつも楽しそうに仕事をしている人、つまらなそうにしている人、カリカリしたり怒ってくる人、不機嫌で注意や批判ばかりしている人など多くの人がいると思いますが、皆さんはどんな人と仕事をしたいですか?楽しそうな人と答える人が多いと思います。もし皆さんが、仕事をつまらなそうにしている人であれば、他の人はあなたと仕事をしたいと思うことはなく、そのような環境では生産性が低く成果をあげることは難しいと考えるのが普通ではないでしょうか。
それでは心を快活に保つには、どのようにすればよいのでしょうか。仕事で幸福感を得るためにマインドセットを変える方法や怒りをマネジメントして仕事を楽しくする方法については、過去の記事を参考にしていただければと思います。
②今ある仕事に全力で励む
世の中の成功と不成功の違いはどこにあるのでしょうか。本多博士が実績を調べた結果、その両者の努力には大差がないようです。それにもかかわらず、不成功となる方はいずれも、あとひといきというところでの打ち込み方が足らないようです。山登りに例えると、八合目・九合目の辺りで苦しくなり、嫌になり、ついに山登りをあきらめてしまったり、今のコースをやめてしまい、他のコースに変更するからです。どんなに才能がある人でも、ひとつの仕事に打ち込んで、それが成功する前に他の仕事に目移りしてしまったり、途中で投げ出したまま他の仕事に移ってしまうようなことでは、その人が持つ力を分散させてしまうため、無駄が多くなり、成功からは遠ざかってしまいます。その一方で、いかに才能が少ししかなかったとしても、全力で一つの仕事や目的に集中すれば、必ずある程度の成果を勝ち得ることができます。
ドキっとする内容です。転職が当たり前と言われる現代社会では、「ちょっと待って」と言いたくなる方も多いと思います。転職自体は全く悪いことではありませんが、今の職場で成果を成し遂げた上でのキャリアアップの転職であることを願います。決してキャリアダウンの転職をしないようにして欲しいと切に願います。今日・今週・今月・今年と仕事で全力で取り組まない人は、いつ全力で取り組むのでしょうか、本当に取り組むことができるのでしょうか。新しい職場で取り組むのでしょうか。筆者は違うと思っています。今を全力で取り組むから成果をあげたり、課題を見つけることができます。全力で取り組んだ結果、失敗も経験することで、成功への一歩を踏みだすことができます。
最近、自由な時間が欲しいから、もっと厳しくない環境で働きたいと、キャリアダウンする転職を希望される方が一定程度いると思います。おかれた環境もあるので、全てを反対するつもりま全くありませんし、個々人が幸せと思える価値観が最重要でありますが、いずれにしても、ひとりでも多くの方が全力で取り組んだ結果をもって、次のステップに移って欲しいと切に願います。
ただし、ここには例外があります。それは、ハラスメントやブラックさが常態化する環境、テイカーが身近に存在する環境で仕事をされている方です。キャリアアップやキャリアダウンを考える以前に、働らきやすい環境を見つけることが最優先事項であると思います。
③成功は人に譲って自らは責任を負う
これはチームや組織のリーダーとなる人の心得になります。人にはだれにも多少のうぬぼれがあります。優秀な者ではなくても、30代前半くらいのころは、自分自身の能力を過信して、先輩に打ち勝ち、同僚を追い越そうとする傾向があります。その傾向が強い人はどうなるのでしょうか。どんなことにも無理が生じてきてしまい、先輩には嫌われてしまい、同僚には憎まれてしまい、それが思いもしなかったような不利なこととしてわが身に降りかかってきてしまいます。
皆さんの立場で思い起こしてみて下さい。仕事においては、実際には皆さん自身の力で成果をおさめたと思えるようなものでも、よく考えてみると、決して自分ひとりの力でできたものというのはほとんどないのではないでしょうか。その成果には、先輩の指導にもよるものでもあり、同僚の協力によることが多くないでしょうか。
もし、何かの目標をチームや組織でまとめあげようとする場合は、リーダーとなる人は、決して成果を独り占めしてはいけません。仮にリーダー自身が全てを手掛けたものであっても、できる限りその成果は人に譲り、責任だけはご自身で引き受けるようにしましょう。リーダーとなる人は、その下にもぐって「縁の下の力持ち」をつとめるように心がければ、同僚もそれを認めずにはいられなくなり、先輩も決してリーダーの成果や貢献を見逃すようなことはないでしょう。
他の皆さんはどんなリーダーと仕事をしたいと思うのでしょうか。もちろん、「縁の下の力持ち」で皆さんの成果をサポートしてくれる人ですね。このようなリーダーは、自然と皆さんを惹きつけてしまうので、引く手あまたとなり、知らず知らずのうちに、さらに上の組織でのリーダーに押し上げられ、リーダーとしての高評価も得ることになります。
これは、勤労効果を貯金しておくようなものであり、いつの日にかは必ず元金のほかに利息まで付いて返ってきます。例え直接の相手から利息が帰ってこなくても、別の方面から思わぬときに利息が返ってきたります。したがって、この勤労貯蓄の多い人ほど成功し、出世も早くなってきます。成功を急ぐあまりに、勤労の結果をすぐに受け取ってしまおうとする人は、少しも貯金をしない人と同じであり、もし仕事に失敗したり、躓いてしまった時には、取り返しがつかないことになってしまいます。
④善を褒めて悪は問わない
善人と悪人には、どのような違いがあるのでしょうか。善人は全てが良いのでしょうか。一方で悪人は全てが悪いのでしょうか。多くの場合では、善人でも何から何まで全部が良いわけでもなく、悪人でも何から何まで全部が悪いわけではないと思います。
皆さんも仕事において、同僚の何かが理解できないということはないでしょうか。自分はこんなにしているのに同僚は分かってくれない、これくらいのことはしっかりしようよ、何でこんなこともできないの?悪いところだけを見ると、次から次へと出てきてしまいます。でも、それは同僚から見た皆さんも同じではないでしょうか?そう、客観的に考えてみれば同じです。
善人でも悪人でも、皆さん自身も同僚にも、長所もあれば短所もあります。短所だけも見ても発展性や成長性はなく、職場環境もどんどん悪くなってしまいます。しかも、同僚は皆さんに同じ不満をもっていることでしょう。でも、相手の長所にフォーカスして前向きにつきあえば、悪友はなしと言えます。むしろ、皆さんの苦手なところを補って、発展や成功、成果をあげる上での相乗効果を高めてくれる貴重な存在になりえます。マインドセットひとつで180度違う結果になります。
⑤人から受けた恩は必ず返す
皆さんは他の人から受けた恩のひとつやふたつはありますよね。その恩はどのように当人にお返していますか?実際にはあまりお返しできていないのではないでしょうか。
恩を与えた方の立場で考えてみましょう。その人は見返りを求めているのでしょうか。全員とは言いませんが、多くの方は見返りを求めているのではありません。皆さんのために役に立ちたいと考えて心から支援してくれていて、どちからかというと皆さんのその後を心配しているのです。
なので、恩をいただいた方には、しっかりと進捗を報告するようにしてください。区切りとなる中間報告のように大きなことである必要もなく、現状を細かくお伝えすることが大事です。皆さんの役に立ちたいと考えている人は、その現状に対しても更に助言や指導をしてくれることでしょう。
恩は必ず恩で返しましょう。決して仇で返してはいけません。
まとめ
ここまで、仕事を楽しみながら、歩幅は小さくても一歩一歩を確実に積み重ねて成果をあげるために、どのような心構えで望んだらよいのか、重要な5選について解説してきました。
①常に心を快活に保つ…人は気持ちの持ちようひとつで、楽しい気持ちで仕事に取り組むことができます。他の人が皆さんと仕事をしたいと思ってもらえるように楽しく仕事に取り組みましょう。
②今ある仕事に全力で励む…才能が少ししかなかったとしても、全力で一つの仕事や目的に集中すれば、必ずある程度の成果を勝ち得ることができます。今を全力で取り組むから成果をあげたり、失敗も経験することで成功への一歩を踏みだすことができます。
③成功は人に譲って自らは責任を負う…リーダーとなる人は、決して成果を独り占めしてはいけません。その成果は人に譲り、責任だけはご自身で引き受けるようにしましょう。リーダーとなる人は、「縁の下の力持ち」をつとめるように心がけましょう。これは、勤労効果を貯金しておくようなものであり、いつの日にかは必ず元金のほかに利息まで付いて返ってきます。
④善を褒めて悪は問わない…善人でも悪人でも、皆さん自身も同僚にも、長所もあれば短所もあります。相手の長所にフォーカスして前向きにつきあえば、皆さんの苦手なところを補って、発展や成功、成果をあげる上での相乗効果を高めてくれる貴重な存在になりえます。
⑤人から受けた恩は必ず返す…恩を与えた方の多くは、見返りを求めていません。皆さんのために役に立ちたいと考えて心から支援してくれていて、皆さんのその後を心配しているのです。恩をいただいた方には、しっかりと進捗を報告するようにしてください。
あとは人事を尽くして時節を待つだけです。皆さんのキャリアに決してマイナスになることはないと信じています。もし、本当に欲しかった成果が得られなかったとしても、それは未来の成功に対して何のマイナスでもなく、その過程で学んだことが必ず次につながると信じています。
筆者も頑張りますので、ともに頑張って、小さな一歩を確実に踏み出し、小さな成功体験を積み重ねていきましょう。努力は決して裏切りません。勤労貯蓄の効果は再現性が高く絶大だと信じてこれからも頑張っていきましょう。