知的能力

本多静六の名言!仕事や勉強の先回りの努力を続けることで天才よりも成功できる

はじめに

仕事や勉強を、一歩先回りをして取り組み続けている方はいますか?先回りをするとは、例えば、企業では入社1~2年目では3~5年目の仕事を身につけてできるようにする、3~5年目になったら10年目の仕事を身につけてできるようにする、10年目になったら管理職の仕事を身につけてできるようにする、管理職になったら幹部職員の仕事を身につけてできるようにする、といったものです。この年数や役職の考え方は、企業や皆さん自身によっても異なると思います。もし、この努力して成長し続けるプロセスが道楽化できるように(楽しみに)なったときには、きっと意識せずとも、地位も名誉も富も得られている、または、そこに向かって進んでいるのではないでしょうか。

本記事は、本多静六博士の有名な著書「私の生活流儀」の「平凡人の成功法」を参考にしています。仕事や勉強の先回りの努力を続けることがいかに重要であり、これを続けることでなぜ天才よりも成功できるのか、更に、仕事や勉強を道楽化(楽しみに)することの重要性について解説していきます。

本題に入る前に、本多静六博士について少し触れておきます。日本の「公園の父」といわれており、慶応2年(1866年)に現在の埼玉県久喜市(旧菖蒲町)に生まれ、苦学して東大教授になり、日本最初の林学博士として近代林学の基礎を築くとともに、明治神宮の森や東京都水源林などの森林の造成、日比谷公園や大宮公園をはじめとする全国各地の公園の設計など様々な事業を行い、近代日本の発展に大きく貢献した方です(埼玉県ウェブサイト参照)。また、著書「私の財産告白」の中では、「月給4分の1天引き貯金」を元手に投資で巨万の富を築き、大学定年退官と同時に全財産を寄付されています。このように、研究者としても投資家としても多大な成果を挙げており、これだけでも尊敬に値するのですが、更にすごいことは、その考え方が現在においても全くもって通用する普遍性のあるものであり、むしろ今だからこそ勉強すべき多くの実績や書籍を残されています。

本多博士や「月給4分の1天引き貯金」については、筆者が大ファンでいつも楽しく勉強して行動させてもらっているリベラルアーツ大学さん(YouTube動画や書籍も良質すぎて空前の大ヒット)でも何度も紹介されています。本多博士はお金の話が中心と思いきや、書籍を読んでみると、お金の話はもちろんのこと、生き方や考え方がとても共感でき尊敬できるものであり、本多博士のさまざまな書籍については今後も何度も紹介していきたいと思います。

仕事や勉強の先回りとは

本多静六博士の書籍では、総理大臣もされた桂太郎大将(第11、13、15代首相)から聞いた話として以下のように記されています。ここは原文そのままで引用します。念のため、本記事にも書籍の内容にも政治的な意図は一切なく、仕事や勉強の先回りについての考え方を示すことが主旨であるので、誤解なきようお願いします。

勉強の先回り:桂太郎大将の言葉「私の生活流儀」の「平凡人の成功法」
「自分は陸軍に身を投じて、常に次から次へと勉強の先回りをやってきた。大尉に任ぜられたときには、少佐に昇進する年限を三年と考え、その初めの半分の一年半に、大尉としての仕事を十分に勉強しつくした。そうしてのちの一年半に、少佐に昇進したときに必要な事柄について一所懸命勉強した。だから、予定の年限がきて少佐になると、大尉時代に早くも準備を積んでおいたために少佐の任務は安々と務まって、他のものにくらべて綽々(しゃくしゃく)たる余裕を残した。そこでただちに次の中佐時代に必要な勉強を始めたのであるが、中佐になれば大佐の、大佐になれば少将のと、次々に一段階ずつ上のことがスッカリ身についていたのだから、勤務もすこぶる楽であったし、成績も意外に上がった。したがってだれよりも最右翼で昇進することができたのである。」

参考:第2次世界大戦時の日本の陸軍の階級(階級の高→低の順):
大将・中将・少将大佐中佐少佐大尉・中尉・少尉・准尉・曹長・軍曹・伍長・兵長・上等兵・一等兵・二等兵

働き盛りであった本多博士でさえも、いまさら青年のように啓発されたそうです。筆者自身も大変啓発されるとともに、もちろん桂元首相のような完璧さはなくできる範囲内ではありますが、実際に振り返ってみると類似した考え方を持ち、類似のアプローチを取っていたので大変自信を持つことができました。

筆者の場合は、企業に入社した時からすぐに10年以内に、1年でも早くプロジェクトマネージャーになるという気持ちで、さまざまなプロジェクトに主体的に取り組んできました。更に、2年間という期間限定ですが、海外で働ける貴重な機会を得られたので、そこで全力で取り組み、1年以内に早く適応し、2年目で確実に成果をあげて、プロジェクトマネージャー(管理職)として活躍するための付加価値をつけるようにしました。更に資格も保有して管理職となった後は、博士課程(社会人枠)に進学して、学者の方々と対等に議論ができるようにすることでさらなる付加価値をつける努力をし、博士号取得後の今でも学術論文に継続的に投稿しています。プロジェクトにおける成果があがるようになり、顧客からの信頼も得られてきたので、次は管理監督者(チームや組織の長)としての仕事を意識的に覚え、いつでもその立場で役割を果たす準備をして、チームの長になりました。今は、そのチームの長も慣れてきて、次の幹部職にいつでもなれる勉強を継続してすでに準備が整ったという状況です。よくよくみると、もちろんレベルの差はありますが、取り組んでいることは同じですよね。

仕事の道楽化の方法は勉強の継続 つらそうに感じますが…

本多博士は、仕事を道楽化する方法はただ一つ、勉強に存じて努力また努力のほかはないと断言しています。こちらも書籍からそのまま引用します。

あらゆる職業はあらゆる芸術と等しく、初めの間こそ多少苦しみを経なければならぬが、何人も自己の職業、自己の志向を、天職と確信して、迷わす、疑わず、一意専心努力することにおいては、早晩必ずその仕事に面白味が生まれてくるものである、一度その仕事に面白味を生ずることになれば、もはやその仕事は苦痛ではなく、負担ではない。歓喜であり、力行であり、立派な職業の道楽化に変わってくる。
実際、商人でも、会社員でも、百姓でも、労務者でも、学者でも、学生でも、少しその仕事に打ち込んで勉強しつづけさえすれば、必ずそこに趣味を生じ、熱意を生み、職業の道楽化を実現することができる。それは私の今日まで体験してきたところでも全く明らかである。

これを読んでどのように感じましたでしょうか。もしかしたら「学者という崇高な職業だからできるものであり、自分自身には関係ない!」などと思われる方もいるかもしれません。しかし、本多博士は、若かりし頃の普通であればつまらないと感じるような仕事を、どのように道楽化を図ったのかについても、おもしろおかしく具体的に示しています。気の持ち方やマインドセットを少し変えれば、今の皆さんの仕事も道楽化することができるのです。

筆者自身も正直、本業の仕事はプライベートと大して区別がありません。一緒に働く皆さんが、働きがいをもてて、楽しくわいわいとしながら、それでも努力を続けることで成長していく、そんな姿を見るのが楽しみなのです。決して「楽」な未来を目指している訳ではありません。この社会情勢が大きく変化していく中で、企業が成長し、社会に貢献していくこと、その中に働きがいをもてる職員とともに日々努力をして成長していこうとしています。

天才マイナス努力よりも、凡才プラス努力の方が必ず成功する

ここで冒頭の話題に戻ります。仕事や勉強を、一歩先回りをして取り組み続けている方はいますか?筆者も含む凡才でも努力を続ければ、天才にも勝つことができます。本多博士は、それを「仕事に追われないで、仕事を追う」ことであると記しています。天才が1時間かかることでも、2時間かけて追いつき、3時間で追い越すこととのことです。今日の仕事を今日片付けるのはもちろん、明日の仕事を今日に、明後日の仕事を明日に、さらにすすんで今日にも引きつけることが重要であり、これが桂大将のやり方になります。

現在は、労働基準法や働き方改革などの法案も整備されており、もちろんすべての企業ではないにしても、実質的な残業時間も減ってきています。この環境下で、凡人が少し手際よく工夫をして時間を確保し、人的資本を強化する努力を続けていけば、競争に勝ち残っていくことができると思います。桂大将も本多博士も筆者も、時代も階級も職種も違えど、同じように努力して成果を挙げています。

この時代も職種も違えど、というのが重要です。つまり、正しい努力を続ければ、多くの人はその努力が報われるということです。皆さんが務める職場がブラック企業であったり、ハラスメントを当然とするような企業で離職率が極めて高いような環境では適用できなく、努力の仕方などの違う面での強化はもちろん必要ですが、どのような職場環境においても再現性高く成功するということです。

イチロー選手など一流のアスリートも同じように、ひとつひとつの努力を積み重ねることで、とんでもないことを成し遂げています。どんなレベルであっても、私たちにもその可能性が十分にあるので、意識やマインドセットを少し変えて、ともに努力を継続できるような行動をしていきましょう。

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