みなさんは仕事に取り組む時に、どんな思考で行っていますか?何(What)やどのように(How)から始める人も多いと思いますが、一番大切なことはなぜ(Why)です。これを突き詰めることで、多くの仕事はうまくいく可能性が高まります。仕事がうまくいけば前向きになれたり、働きがいを持てたりします。ここでは、仕事における、なぜ(Why)、どのように(How)、何(What)の関係について、分かりやすく説明していきます。詳細は改めて長編に掲載していきたいと思います。
何(What)が陥る負のスパイラル
仕事で上司から、「〇〇(What)を対応してほしい」と依頼を受けるとします。あなたは、どのように対応しますか?「承知しました」と言って、いつも通りにWhatについて対応しますか?その時、相手はどのような意図で依頼しているのかは理解できますか?もし、それが上司からの依頼で、①顧客がトラブルに巻き込まれていて上司が急ぎでの対応を依頼されていて期限が明日の朝だったとしたら、②顧客から重大な問題があって時間をかけて原因や要因を分析して解決策を導いてほしいというものであったとしたら、または、③あまり深く掘り下げたい訳ではなくて浅く広くパッと情報を調べて上司の提案しようとしている方針が正しいか裏取りができているのかの確認をするためであったとしたら、実際には具体的に何(What)をどのように(How)対応するればよいのか、アプローチは大きく変わります。
それにもかかわらず、「言われたことを対応しました。」と上司に報告すると、「全然意図しているものとは違う!何を聞いていたんだ!やり直し!」「そんなことも分からないで無駄な時間を過ごしたのか!」なんて言葉が飛んでくるかもしれません。まぁ、そもそも意図を説明していない上司が悪いとも言えます(1回目の登場!?)が、そんなことで皆さんが嫌な思いをする機会を増やしてしまうことも決して良いことではありません。これを繰り返すと、上司は部下を信頼できないようになり、部下も上司を理解しようとしなくなり、指示に対しても怒られることを前提に適当に対応することになり、結果として、チームや組織の生産性をい下げて、職場環境も悪くなり、顧客満足度も下げることになり、何一つ良いことがなくなります。
どのように(How)では解決できないこと
では、上司に何(What)に対してどのように(How)対応するのかを聞くこととしましょう。それで上司は「この資料はタイトルは〇〇で、その内容は、3つの構成で①背景、②現状と課題、③課題に対する解決策の構成としましょう。それで①背景については当社のこの資料を使って整理し、②現状と課題については顧客のこのデータを基に課題を抽出し、③課題に対する解決策では当社の過去のこの実績を用いて提案しよう」と言い、皆さんはこれに対して忠実に任務を遂行します。恐らく資料は完成するでしょう、それなりのものができるでしょう。でも、それは顧客が困っていることの課題解決につながるのでしょうか。つながる場合もありますが、そもそも顧客は何故(Why)その対応をして欲しいのか、皆さんは知っていますか?知らなかったとしたら、いったいどのように顧客に対して満足できる提案ができ、信頼してもらえるパートナーになりえるのでしょうか。
上司が何故(Why)を知って皆さんにそれを伝えていなかったとしたら、どのように顧客が必要としているニーズに対して提案できる資料を作れるのでしょうか。もう1度言いますが、これは上司が悪いのです(2回目!)が、でも、上司の良い・悪いが、顧客の満足度に影響してしまって皆さんの信頼を損ねてしまったとしたら、損をしてしまうのは皆さん自身です。
なぜ(Why)から始めることが大切な理由
これまでに示してきたように、何(What)が分かっていても、どのように(How)が分かっていても、やはり、なぜ(Why)に対する認識を一致させなければ、うまくいきません。
①顧客がトラブルに巻き込まれていて上司が急ぎでの対応を依頼されていて期限が明日の朝だった場合
顧客のトラブルが何であり、何故急ぎでの対応が必要なのかを確認しましょう。それが分かれば、こちらの対応は大きく変わります。本当に急ぎで甚大な問題なのであれば、個人で対応するのではなく、チームや組織の他の職員にも協力をお願いする必要もあるでしょう。そのメンバーで、なぜ(Why)この対応が必要であり、なぜ急いでいるのか、背景を共有できれば、メンバーが意識をもって主体的に何(What)をどのように(How)対処すればよいのかを考えることができます。この時のメンバー総力での成果はすごいものがあり、顧客の信頼度も爆上がりしますし、それを聞いて嫌な思いをするメンバーはいないですよね。チームの皆さんで成果を称えあることができれば達成感が更に高まりますし、働きがいもでてきます。その一方で、メンバーがとにかく集められて、何(What)をどのように(How)対処すればよいのかだけを、しかも急ぎで対応する必要があることだけを共有されたとしたら、おそらく、出来上がる成果に整合性や一貫性がなく、手戻りややり直しが生じてしまいます。メンバー間での信頼関係も損ない、協力して損をしたという感情も抱きかねず、最悪の場合は、顧客の信用を失います。そもそも悪い上司(3回目!)も不機嫌になり、職場環境も悪化してしまう可能性が高まります。
②顧客から重大な問題があって時間をかけて原因や要因を分析して解決策を導いてほしいというものであった場合
顧客が抱えている重大な問題が何かを背景から理解し、顧客が時間をかけて解決策を検討することを求めているのであれば、検討の期限を設定し、それに対して解決するための検討方針を立案し、この工程を踏まえて、体制や工程を考えることができます。
③あまり深く掘り下げたい訳ではなくて浅く広くパッと情報を調べて上司の提案しようとしている方針が正しいか裏取りができているのかの確認をするためであった場合
もし、このような案件であれば、一人で対応すればよいでしょう。一人で既往資料や公表資料を確認して問題がなければ、時間を限定して対応して成果をまとめれば解決します。
トヨタ自動車の生産方式では、問題を発見したらなぜ(Why)を5回繰り返すというものがあります。これは問題の再発を防止するために、発生した事象の根本原因を徹底的に洗い出すための考え方です。これも、同じです。本記事の場合は、問題ではありませんが、顧客が求める対応が必要な理由として、なぜ(Why)をしっかりと理解することで、会社の職員の上司と部会、顧客との間でWin-Winの関係を築くことができます。
このように、なぜ(Why)を意識した取り組みを継続することで、1人でも多くの方に仕事に前向きだったり、働きがいをもって取り組むことができるようになれたり、なれるきっかけになれば嬉しいです。