1. はじめに
人間関係や仕事において、成功するためにはどのような姿勢が求められるのか、多くの人が考えることでしょう。本記事では、アダム・グラントの著書『GIVE & TAKE』に基づき、その中で紹介されている「ギバー・テイカー・マッチャー」の概念に焦点を当てます。この概念を理解することで、自己成長や人間関係の向上につなげることができます。
2. ギバー・テイカー・マッチャーとは?
「ギバー・テイカー・マッチャー」とは、アダム・グラントが提唱する人間関係における3つの主要なタイプのひとつです。これは、人々が他者との交流においてどのような姿勢を取るかを表すものです。
ギバー: ギバーは、他者に対して自己の時間やリソースを惜しまず提供する人々を指します。彼らは喜んで助けを提供し、他者の成功を支援することを優先します。
テイカー: テイカーは、他者からできるだけ多くを得ようとする傾向があります。彼らは自己中心的であり、他者のニーズよりも自己の利益を優先します。
マッチャー: マッチャーは、他者との交換をバランスよく保とうとする傾向があります。彼らは与えることも受け取ることも、状況に応じて変化させます。
これらのタイプは、人々が自己と他者との関係を築く際にどのような行動パターンを取るかを示しています。
3. ギバー・テイカー・マッチャーの診断方法
ギバー、テイカー、マッチャーのどのタイプに当てはまるかを知ることは、自己認識と他者との関係を改善するための第一歩です。幸いにも、自己診断のためのツールがあります。
(1)自己診断1(最後通牒ゲーム)
質問
あなたはテーブルに座っています。テーブルの向こうには初対面の男性が座っていて、1000円が与えられています。その男性は、あなたと1000円を分けようとしています。そして、その男性は、テイカーとしてふるまい800円を取り、あなたに200円だけをあなたに渡そうと提案しています。
ここで最後通牒です。あなたには、そのまま提案を受け入れて200円を受けとるか、提案を拒絶して二人とも受け取れないか、「承諾」か「拒否」のいずれかを選択できます。なお、金額を交渉することはできません。
「承諾」あなたが200円、男性が800円を受け取る
「拒否」二人ともお金を受け取れない
この状況であなたは「承諾」と「拒否」どちらを選びますか?
診断結果
「拒否」を選んだ人は、たいていの人が選択するのですが、マッチャーです。強欲なテイカーを罰するために、進んで自分の取り分を犠牲にしてでも、男性が利益を得られないようにします。
(2)自己診断2(インタビュー)
質問
あなたは組織のリーダーであり、多大な成果を上げました。そこで上司からその成果を褒められて、インタビューを受けることとなりました。そして、以下の質問を受けた時、あなたは何と答えますか?
これはあなたの成果でしょうか?
診断結果
「私の成果」と答える人は、テイカーである可能性が高いです。
テイカーは自分のことで頭がいっぱいなので、三人称の代名詞「私たち」よりも、一人称の代名詞「私」を使うことが多いのです。
一方で、「部下の成果」や「私たちの成果」を答える人は、テイカーではありません。
(3)自己診断3(影響を与えたと思う人)
質問
あなたが、これまでに影響を与えたと思う人を5人、あげてみてください。誰でも良いので5人です。
診断結果
この質問で、5人をあげた中で自分より影響力がある人が多い場合は、テイカーである可能性が高いです。
逆に、影響力が無い人が多いならギバーである可能性が高いのです。
4. 診断の結果をどう活用するのか?
ギバー、テイカー、マッチャーの診断結果を活用することで、人間関係や仕事における成功を促進することができます。
ギバー: ギバーの場合、他者への支援や協力を積極的に行うことで、信頼や連帯感を築くことができます。これは、チームのリーダーシップやプロジェクトの推進において特に有益です。
ただし、ギバーには「自己犠牲型」と「他者思考型」の2種類のタイプがあります。この2つは同じギバーですが、結果が大きく異なるので注意が必要です。
テイカー: テイカーの場合、自己中心的な行動を見直し、他者との協調や信頼を築くことが重要です。他者のニーズや視点を尊重することで、より持続可能な人間関係を構築できます。
マッチャー: マッチャーの場合、バランスの取れた関係性を維持しつつ、必要に応じて積極的に行動することが求められます。状況に応じて与えることや受け取ることを調整することで、他者との関係を良好に保つことができます。
自己のタイプを理解し、適切な行動をとることで、より効果的なリーダーシップやチームワークを実現することができます。以下の記事を参考にすると、さらに具体的な戦略を見つけることができます。
5. おわりに
ギバー、テイカー、マッチャーの概念は、人間関係や仕事において重要な理解を提供します。自己診断を行い、自己のタイプを理解することで、より効果的なコミュニケーションやリーダーシップを発揮することが可能です。
さらに、他者との関係性を築きながら、個人と組織の成長を促進するために、ギバー、テイカー、マッチャーのバランスを保つことが重要です。この概念を活用して、より豊かな人間関係と成功に満ちたキャリアを築きましょう。