1. はじめに
ここでは、仕事でのコミュニケーションに関する有益な書籍を紹介します。
2. 仕事で必要!コミュニケーションに関する本のおすすめ
人を動かす 文庫版 デール・カーネギー(創元社)
人を動かす 文庫版 デール・カーネギー(創元社)
デール・カーネギー(Dale Carnegie)は1888年に米国ミズーリ州の農家に生まれ、大学卒業後、雑誌記者や俳優、セールスパーソンなどの雑多な職業を経て、弁論術や成人教育の講師となり、人間関係の先覚者として世界的に有名になりました。
「人を動かす」がサイモン&シュスター社から発売されるととたんにセンセーションが巻き起こり、増刷に増刷を重ねてまたたく間に世界的なベストセラーになりました。そのような経緯のある世界的に超がつくほど有名な書籍です。
職場における人間関係において、「人を動かす」を読むか読まないかでは、将来が大きく変わるといっても過言ではありません。マネジメントを行う上でも必須の知識が集約されています。どれくらい重要であるのかを例えると、本書籍を読まずに仕事をしている人は、運転免許証や道路交通法を知らずに車を運転しているのと同じくらいの違いがあると考えています。それほどビジネスにおいて重要な書籍であるということです。
そのような古い書籍を読んでも今の時代には合わないのではないか?と思われる方もいるかもしれませんが、全くそのようなことはありません。社会が多様化・複雑化し、職場での人間関係がぎくしゃくしがちな今だからこそ活用できる価値が最大化していると感じます。
人間関係やコミュニケーションについて書かれた最近のベストセラーには、永松茂久氏の「人は話し方が9割(すばる舎)」などがありますが、デール・カーネギー氏の考え方は、主要な構成要素の一つとなっていると考えています。
本書籍は以下に示すように大きく4つのパートに分かれています。
- PART I 人を動かす三原則
- PART II 人に好かれる六原則
- PART III 人を説得する十二原則
- PART IV 人を変える九原則
この4つのパートを通じて重要なことは、必ず相手目線であり、相手の立場に身を置いた上で、真摯に相手の話を聞いていくことが前提にあると考えます。その中で、全肯定や全否定などの極端な立場を取ることはなく、必ず相手の良い面を引き出すことの重要性が示されています。これは、人間関係やマネジメントにおける原理原則です。しかし、実際の職場やビジネスの現場において、本書籍を読んだことがない方は、それができていると思いますか?あるいは、読んでいても実践できていますか?そして、実践していない人が、多くの人から尊敬され、人間関係を上手に築いたり、適切なマネジメントができているでしょうか。皆さん自身や周りの方を見てみて下さい。それは明らかではないでしょうか。
本書籍は、この原理原則をしっかりと示し、実践する上での考え方についても多くの具体的な事例を用いて示しています。この書籍を知らなかった、読んだことがないという方がいれば、是非、読んでいただきたいです。皆さんが職場などで良好な人間関係を築いたり、より良いコミュニケーションができるようになり、仕事におけるストレスも軽減できるきっかけになれると信じています。
嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え 岸見一郎 古賀史健(ダイヤモンド社)
嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え 岸見一郎 古賀史健(ダイヤモンド社)
アドラー心理学とは、オーストリアの精神科医であるアルフレッド・アドラーが提唱した心理学です。アドラーは、原因論を提唱したオーストラリアの精神科医であるフロイトや、人間に共通する無意識の存在を提唱したスイスの精神科医のユングとならぶ心理学の三大巨匠のひとりです。
アドラー心理学が日本で知られることになったきっかけが本書籍であり、悩みを消し去り、幸福に生きるための具体的な「処方箋」が本書籍に濃縮して記載されています。世界的な名著である「人を動かす」のデール・カーネギー氏にも大きな影響を与えています。
アドラー心理学は、「全ての悩みは対人関係の悩みである」「人はいまこの瞬間から変わることができ幸福になることができる」「問題は能力ではなく勇気である」というものであり、一見怪しさを感じます。しかし、本書籍に登場する青年のように、すでに現実の洗礼を受けてしまっている悩み多き青年が、哲人との対話を通じて、誰もが感じるであろう、悩みや疑問点を議論していく過程を丁寧に示してくれており、非常に説得力があります。目次は以下の通りであり、見出しをみるだけでも重要なキーワードが詰め込まれていることが分かります。
第一夜 トラウマを否定せよ
第二夜 すべての悩みは対人関係
第三夜 他者の課題を切り捨てる
第四夜 世界の中心はどこにあるのか
第五夜 「いま、ここ」を真剣に生きる
職場での人間関係が多様化・複雑化する中で、また、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)の普及に伴い、ストレスを抱えたり疲弊している方も多いのではないでしょうか。そのような方に、マインドセットを変えて前を向いて人生を充実させたい方にお薦めの一冊となっています。
人は話し方が9割 永松茂久(すばる舎)
人は話し方が9割 永松茂久(すばる舎)
永松茂久氏の「人は話し方が9割(すばる舎)」は、もっと話し方がうまければ人生がうまくいくのに...と思ったことのある方に向けて、会話下手や苦手意識のある人が、人と話すことがうまくなり、楽しくなる方法を示した書籍です。100万部を突破するベストセラーです。
本書籍は、以下に示す4つの章で構成されており、職場はもちろんのこと、家族や友人、恋人、コミュニティの仲間といった身近な人間関係を円滑にするための方法が詰まっている良書です。
- 第1章 人生は「話し方」で9割決まる
- 第2章 「また会いたい」と思われる人の話し方
- 第3章 人に嫌われない話し方
- 第4章 人を動かす人の話し方
本書籍における話す力とは、「スキル」ではなく「メンタル」であり、「話し方」とは「聞き方」であり、これが重要なポイントになります。皆さん、この文章を読んで「?」がついた方も多くおられるのではないでしょうか。ご安心下さい、その反応自体はまったくその通りだと思います。
でも、本書籍を読んでいただくと、コミュニケーションにおける本質的で重要なことが盛りだくさんであると気づくことができます。「いかに話すか」よりも「いかに聞くか」、「正しい話」よりも「好かれる話」、「肩書き」よりも「相手の名前」を覚える、「説得」よりも「楽しむ」、「笑わせる」よりも「いっしょに笑う」、「好かれる」前に「嫌われない」などといった金言が盛りだくさんです。
これらの例を見てみると、自分主体ではなく、丁寧に相手を見て、尊重するスタンスを取っていることが分かります。皆さん自身の経験を振り返ってみてください。皆さんが話したいと思えたり尊敬できる人は、皆さんのことを、自分事のように大切にしてくれていませんか?よく話を聞いてくれていませんか?一緒に悩んでくれたり応援したりしてくれていませんか?そして、その人は、話上手の人ばかりですか?話上手の人ももちろんいると思います。でも、全員が話上手ではないというのが現実的な感覚なのではないでしょうか。
本書籍はここがポイントであり、そのために、読者の皆さんが
何を知る必要があるのかを示した上で、話し方について示してくれています。その中では、「拡張話法」として、感嘆・反復・共感・称賛・質問の流れやポイントを解説しています。
本書籍を読めば、職場などにおいてきっと会話や議論を楽しむことができるきっかけになると思います。
伝え方が9割 佐々木 圭一(ダイヤモンド社)
伝え方が9割 佐々木 圭一(ダイヤモンド社)
佐々木圭一氏の「伝え方が9割(ダイヤモンド社)」は、誰もがすぐに真似できる「伝え方の技術」をまとめたものであり、2013年の発売以来、右肩上がりで売れ続け、100万部突破のベストセラーになっています。「伝え方が9割」は海外でも発売され、特に中国では80万部突破の大ベストセラーになっている書籍です。
佐々木氏は、膨大な言葉やコピーを見続けて研究し、伝え方には技術があり共通のルールがあること、感動的な言葉はつくることができることを発見しました。本書籍は、この共通のルールと言葉をつくるという観点から、以下に示すように3つの章で技術について解説しています。
- 第1章 伝え方にも技術があった!
- 第2章 「ノー」を「イエス」に変える技術
- 第3章 「強いコトバ」をつくる技術
「伝え方」は現代のビジネスや職場において、コミュニケーションや人間関係・信頼関係を構築する上で、きわめて大切であるにも関わらず、学校では教えてもらえないし、多くの人は鍛えていないという状況にあります。
おそらく、この技術を学び鍛えていれば、これまでにコミュニケーションの中でうまくいかなかったことは、解決できていたかもしれません。
今からでも遅くありません。ビジネスや職場などにおいて、「伝え方」という強力な武器(技術)を持つことで、未来の成功やよりよい人間関係や信頼関係を構築するきっかけにできる良書です。是非、読んで技術を習得して、行動してみてください。
人は聞き方が9割 永松茂久(すばる舎)
人は聞き方が9割 永松茂久(すばる舎)
永松茂久氏の「人は聞き方が9割(すばる舎)」は、「聞くのが苦手」「人の話を聞く時間が苦痛だ」という人に向けて、「聞き方のコツ」について解説しています。
「聞き方のコツ」を押さえるだけで、聞くのが楽しくなり、コミュニケーションがうまくいくようになり、周りからも好かれるようになります。「聞き上手」になれば、自分も相手も安心できる空間をつくることができ、人と話すことがラクになり、人間関係も、人生も、全部がよりよい方向に動き出します。
「人は聞き方が9割」は以下の4つの章から構成されており、コミュニケーションにおいて、実は上手な人が少ない「聞き方」に着目しています。
第1章 なぜ「聞く人」はうまくいくのか?
第2章 人に好かれる人の聞き方
第3章 嫌われない聞き方
第4章 「また会いたい」と思われる人の聞き方
人はみな話したい生物です。とにかく話をしたくて、人に聞いて欲しいのです。皆さんの周りを振り返ってみてください。とにかく聞いてもいないのに、話がやたらと長くて、要点も絞れていないので何を言いたいのか分からないという人はいませんか?プレゼンや普段のコミュニケーションの中で、話し方が上手にできなくて、自信を無くしている人はいませんか?そこで、多くの人は話し方を学ぼうとします。
でも、話す人ばかりが増えると、コミュニケーションにおいて話し手と聞き手のバランスがとれません。そこに、もし、聞き方が上手な人がいると、その人は皆さんに重宝されることになり、人間関係が良くなり、信頼も得られることになり、仕事での成果もあがります。
本書籍は、このように「聞き方」に着目して、聞き方が上手な人が何をしているのかを知った上で、人に好かれる人の聞き方、嫌われない聞き方、そしてまた会いたいを思われる人の聞き方を示しています。
個人的な感想としては、「話し方が9割(すばる舎)」と「聞き方が9割(すばる舎)」は、基本的な考え方は類似しています。そのため、同氏の最新の書籍「話し方が9割(すばる舎)」を先に読んでいただき、更に違う視点から「聞き方」を知りたいという方にお薦めの書籍です。