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ハイスペックの意味とは?オーバースペックとの違いを理解し、ハイスペックを目指して仕事の生産性を向上させる

1. はじめに

仕事において生産性を向上させるためには、ハイスペックとオーバースペックの違いを理解することが非常に重要です。ハイスペックとは、必要な要素に焦点を当て、効率的に取り組むことを意味します。一方、オーバースペックとは、必要以上に資源を割いてしまい、効果的な結果を生み出せない状態を指します。

本記事では、日本人の職人気質や資源の適切な配分について触れながら、ハイスペックとオーバースペックの違いを明確にし、生産性を向上させるための重要な考え方と具体的な取り組みについて解説します。

なお、解説にあたっては、キングコングの西野亮廣氏の著書「夢と金」も参考にしながら、仕事における効果的なアプローチを紹介します。

2. 仕事におけるハイスペックの意味とは?オーバースペックの違い

(1) 日本人の職人気質(クオリティーにこだわる癖)が非効率さを助長する

日本人は一つの仕事に対して徹底的にこだわり、高い品質を求める職人気質があります。しかし、このクオリティーへのこだわりが競争力を低下させる原因になることもあります。時間やリソースを無駄に消費してしまい、効率性が損なわれることがあります。

(2) 自分の資源をどのように配分するのかが重要

効果的な仕事を行うためには、自分の資源であるお金や時間をどのように配分するかが重要です。ハイスペックを実現するためには、必要な要素に適切な資源を投入する必要があります。無駄な時間を削減し、重要なタスクに集中することで、生産性を向上させることができます。

(3) 顧客にとってのサービスの合格点がハイスペックであり合格点以上の探求はオーバースペックである

仕事においては、顧客や上司からの要求に応えるために必要最低限の合格点を設定することが重要です。顧客にとってサービスの合格点を80点とした場合、60点のサービスは合格点に達していないので、80点に上げるための作業には資源を集中した方がよいといえます。

の合格点を80点と仮定した場合、効果的な取り組み方は以下のようになります。60点のサービスを80点に引き上げるためには、資源を集中的に投入することが重要です。しかし、80点を超えると、そのサービスの差は顧客にとってはほとんど感じられません。顧客の視点からすると、80点と81点の差や90点と91点の差はほとんどありません。オーバースペックは自己満足であり、顧客の満足度にはカウントされないのです。

そのため、80点を超えるよりも、80点のサービスを安定して提供するために資源を集中する方が効果的です。顧客に必要とされる範囲での最適な品質を追求し、適切なバランスを保つことで、生産性を向上させることができます。

3. ハイスペックを目指して仕事の生産性を向上させる方法

(1)パレートの法則を活用する

パレートの法則という考え方は、仕事において非常に重要です。この法則は「結果の80%は上位20%の要因で決まる」というものです。具体的には、成果や利益の80%は、全体の20%の重要な要素や活動から生まれるとされています。この法則を活用することで、生産性を向上させることができます。パレートの法則と活用方法の詳細はこちらで解説していますので参考にしてください。

関連記事:オーバースペックによる疲弊を防ぎ生産性を向上させるための具体的な方法

(2)お金を出してくれる顧客を想像し顧客のファン化を図る

皆さんのサービスにお金を出してくれている顧客はどのような方であるのか説明できますか?人によっては、特定少数であったり、非特定多数かもしれません。その方々が、どのようなサービスであれば、皆さんや皆さんが務める企業等のサービスを購入したいと思うのか、顧客のニーズを想像することが重要です。

具体的な方法としては、そのニーズをリストに書き出して、顧客ニーズや満足度が高い、付加価値の寄与率が高いと思われるものから並べ直してみます。そうすると、あなたが現時点で考える顧客ニーズのリストと優先順位が定まります。

次に、そのリストから、顧客ニーズを満たすために、あなたや企業の強みや弱みと合わせてみて、優先順位が高く、かつ、あなた自身ができる、動かすことができることを重視して、実際に行動してみましょう。もし、その想像したリストと対応が合っていれば、顧客はあなたや企業のファンになり、リピーターとなってくれる可能性が高まります。

経営戦略を立案する際には、SWOTスウォット)分析という、経営戦略を立案するために、内部環境と外部環境のプラス面・マイナス面(強み:Strength・弱み:Weakness・機会:Opportunity・脅威:Thread)を洗い出す現状分析手法がありますが、ここでは、どたなでも、皆さん自身がコントロールできる範囲内でできるように単純化して解説しています。

行動していると気づくことがあります。ある弱みの部分を改善しないと、顧客満足度が上がらないかもしれないと。その気づきが弱みを改善する重点課題となります。このように優先順位が高いものに対して、分散せずに集中的に行動していくことで、顧客満足度が、50点から60点、80点へと上がっていきます。そこで、あるサービスの顧客満足度が80点を超えれば、次に考えていくことは、100点満点に近づけるために膨大な時間と労力を割く!ことではありません。80点以上を量産できる仕組みや効率化を図り、更に、そのサービスに何か別のものを掛けて(✕)できる、新しい別のサービスで80点以上を目指していくのです。これがイノベーションの基本になり、顧客にファンになっていただき、潜在的な顧客を増やしていく方法になります。

(3)時代や変化を正確に把握する

先の解説では外部環境(機会や脅威)については触れませんでしたが、時代や変化を正確に把握することは、(必要十分な)ハイスペックなサービスを提供したり、イノベーションを起こして生産性を上げていくためには極めて重要です。

何が顧客に求められ(売れて)、何が求められないのか(売れないのか)です。例えば、ここ数年、多くのビジネスパーソンが、人口知能(AI)に代替される仕事・されない仕事の議論がさかんになってきています。結論としては、繰り返しとなる業務(定型業務)、少しでも機械が導入されてきている業務は、いずれAIに置き換わるだろうとも言われています。しかし、「機能」自体が一般化・コモディティ化(80点としましょう)している現在、誰から買うかというのが重要な観点になります。つまり顧客のファン化を図ることです。

その他にも、新型コロナウィルス(COVIT-19)がパンデミックとなって拡大してから、オンライン会議やテレワークが一気に普及しましたが、その結果、生産性は向上したのでしょうか。この答えは、一部では圧倒的に生産性が向上し、一部では圧倒的に生産性が低下したということになりませんか?結局、仕事ができる人は、どのような勤務形態でもツールでも使いこなして生産性を上げる一方で、仕事ができない人は仕事やコミュニケーションができないことが明らかになってしまったのです。

そこで顧客から出てくるのは、特定少数の顧客であれば、やっぱりAさんにお願いすることが安心となり、不特定多数の顧客であれば、やっぱりA社にお願いすることが安心となるのです。これは、結局は顧客のファン化を図り、成功していることになるのです。

時代や変化を正確に把握するというのは、AIやDXが進んでいるから、何も考えずに突き進むということではありません。本質をさまざまな観点から見て、現状と今後のトレンド、ある方向に進んでいった場合のリスクを考える視点が必要なのです。自分自身で考えて、答えを導きだし、間違っていた時に修正できる能力を、適正なリスク管理の下で判断し、行動し、修正していく力が、今、求められているのです。

4. まとめ

本記事では、仕事において生産性を向上させるためにハイスペックとオーバースペックの違いを理解することの重要性について解説してきました。ハイスペックとは効率的に取り組むことで必要な結果を生み出す能力を指し、オーバースペックは必要以上の資源を割いてしまい効果的な結果を得られない状態を指します。

具体的な取り組みとしては、合格点を設定し適切な品質を追求するためにパレートの法則を活用することが効果的です。また、皆さんのサービスにお金を出してくれる顧客を想像し、顧客があなたのファンになることを目指します。そのためには、時代や変化を正確に把握する必要があり、常にアンテナを高くすることが大切です。

5. おすすめ書籍「夢と金(幻冬舎)」

「夢と金」は、お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣氏が著した書籍であり、仕事やビジネスにおける考え方やアプローチについて具体的に語られています。本書は、西野氏自身の経験や成功の秘訣を通じて、仕事において前向きになり、成果を上げるためのヒントを提供しています。

ファンでない方にとっては、言葉がキツいと思われている方も多いかもしれませんが、書かれているコンテンツを見ると、経験や実績に基づく非常に説得力のある内容となっています。

西野亮廣氏は、多岐にわたる活動を展開し、キングコングとしての活動だけでなく、起業家としても成功を収めています。本書では、彼の経験や考え方が詳細に描かれており、仕事の視点から新たな気づきを与えてくれるすばらしい書籍です。

「夢と金」は、仕事や人生において、皆さんのマインドセットを大きく転換させるほどのインパクトがあります。その中から自身に合ったアプローチや考え方を見つけ出し、行動に移すことができれば幸いです。

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