みなさまはコミュニケーションは上手な方ですか?苦手な方ですか?どちからというと苦手と言われる方も多いのではないでしょうか。それでは、少し質問を変えてみます。人に話をするのは好きですか?人はみんな話したく、自分への関心が一番強い生き物です。聞いてほしいし、分かってほしいし、認めてほしいので、そのためには聞いてくれる人が重要になり、話を聞いてくれる人がいると、安心できたり、好意をもてたり、信頼できたり、尊敬できたりします。でも、その話をする人が、例えば仕事で激アツすぎる人だったり、人の話を聞かずに上から目線だったり、自分の考え方を変えない人だとしたら、誰も協力したいと思えませんよね。尊敬されることもないでしょう。
本記事では、仕事で多くの人が勘違いしている、尊敬される人・尊敬されない人は、どんな聞き方・話し方をしているのか、対比できるように特徴について示していきたいと思います。その上で、私たちが今すぐに行動できる上手な聞き方・話し方について解説していきたいと思います。
本記事の執筆にあたり、永松茂久さんの「人は聞き方が9割」と「人は話し方が9割」(すばる舎)の2冊の書籍を参考にしながら、仕事で活用するための筆者の考え方を示しています。最後までお楽しみいただければ嬉しいです。
なお、今回は、聞き方・話し方に特化していますが、大きくはリーダーシップにも関わる内容になります。リーダーシップとなると、上司や組織のマネージャーなどが参考にするもののようにも思えますが、実は、どなたでも活用することができます。また、本来は、尊敬されるリーダーには、人としてのビジョン(価値観)や夢に魅力があり、聞き方や話し方の前提として必要なことになります。ただ、この話をすると深く長くなってしまうので、尊敬されるリーダー像などについては、別の機会に解説していきたいと思います。
結論
尊敬される・されない人の聞き方・話し方の特徴と今すぐに行動できる上手な聞き方・話し方4選の結論を記します。
尊敬されない人の特徴
- 安心して話ができない(聞く気がない)
- 感謝の気持ちがない
- とにかく自分本位で自分の都合がよいようにしか捉えない
尊敬される人の特徴
- 安心して話ができる(相手の気持ちに配慮してしっかり聞く)
- 感謝の気持ちを示す
- 話し手の状況に応じて判断する
今すぐに行動できる上手な聞き方・話し方4選
- 聞き方を相手目線に変えてみる(表情・うなずき・姿勢・笑い・感嘆・称賛)
- 話し方も相手目線に変えてみる(感嘆・反復・共感・称賛・質問)
- 4Dワード(でも・だって・どうせ・ダメ)は使用しない
- 話やすい人・大切な人から始めてみる
解説
尊敬されない人の特徴
①安心して話ができない(聞いてもらえない)
尊敬されない人、安心して話や相談ができると思えない人は、ほとんどの場合は、人の話を聞く気がありません。なぜなら自分のことしか考えていないからです。ご自身の出世だったり、体裁だったりと、皆さんの職場を想像してみるだけでも、よく分かるのではないでしょうか。
こちらから提案をしたりすると、一生懸命否定したり、批評したりする人もいますよね。それでいて「ではどうすればよいのでしょうか?」とか「ご教示ください!」なんで丁寧に聞いたところで、否定派の多くは、ご自身の意見がないから解決策を示すことなんてできません。「もっと検討しろ!」「それは自分で考えろ!」なんて言っていそうですね。あえて言わなくても皆さんは分かると思いますが、否定派・批評家の多数は、本質はごまかしているのです。自分ができない人だと思われないように、マウンティングを取るために必死です。
そのほかにも、「忙しいから時間がとれない!」とか、「そんなこと、自分ではなくてほかの人に聞いて!」とか、とにかく器が小さく、自分のことしか考えていないのでこうなってしまいます。
あとは、自分に都合の良い話しか聞かない先輩や上司もいますよね。都合の悪い話は聞きたくなく、聞いてしまって自分に責任がくる可能性があるとしたら、とにかく相手を責めたてるあの人のことです(皆さん想像できそうな…)。
このような先輩や上司に対して、安心して話そうなんて思えないので、結果として、話しかけようとせず、その人達は孤立していきます。更にたちが悪いのが、そんな先輩や上司が皆さんに意見を求めて「しーん…」とする時に、「君たちは意見も言えないのか?」「自分しか努力をしていない」「自分以外は役に立たない」とか発言してしまいます。実際には、あたなのことは誰も信頼していなくて、意見をしても否定・批判するだけだから、発言しない方が費用対効果が高いから意見をしないだけなのですが、そんなことを気づける訳がありません。
②感謝の気持ちがない
皆さんが努力したり、良かれと思って取り組んだことに対して、ただただ否定する人がいます。「ありがとう」の一言も言えないあの人達のことです。「なんで余計なことをするんだ!」「そんなことをしても意味がないから!」とかいうあの人達です。誰も尊敬しないのですが、悲しく哀れなことは、その当人が気づいてすらいないことです。
③とにかく自分本位で自分の都合がよいように(自分目線)
聞き方が相手の気持ちを考えていない(自分のことばかり):4つのDワード(でも・だってどうせ・ダメ)を連発する、下ネタを話す、お笑い芸人気取りでいじる人、話をまとめようとする人、相手の話を奪う人、すぐになれなれしい口をきく人、負け惜しみをいう人、とにかく自分本位なこんな人が尊敬されません。
自分が一番正しいと思っている、すぐに相手を否定する:どうせ失敗するでしょ、そんなの意味ないなんて、言葉を平気で言える人は尊敬されません。
責任が問われるなら自ら判断しない:人に判断させて、その人が間違えたら責めたてる人です。もちろん尊敬されません。
自分自身の体裁や責任に異常にこだわる:とにかく大事なのは自分であり、社会や企業、組織、同僚の成長を考えることができません。ご自身の出世が一番大事なので、まぁそうなりますよね。
尊敬される人の特徴
それでは、尊敬されない人と対比するように、尊敬される人の特徴について整理したいと思います。
①安心して話ができる(聞いてもらえる)
心理的安全性にも関係しますが、尊敬される人は、否定のない空間を作ることに長けています。聞き手として安心を提供できれば、大事な情報が集まっていることを知っています。聞き手としては、とにかく相手を尊重して、どんなことでも聞きます。もし、忙しければ、今は忙しくて聞いてあげられなくても、改めて聞くための時間をしっかりと取ってくれます。
②感謝の気持ちを示す
そもそも、一緒に働く同僚の皆さんのおかげでチームや組織が成り立っていると考えているので、感謝の気持ちしかありません。だから、感謝の気持ちをしっかりと伝えることができます。失敗しても、話してくれたこと、頑張ってくれたことに感謝を示すことができます。もちろんそれだけではありません。何故、失敗してしまったのか話を聞いてくれて、次の成長に向けた改善策を一緒に考えてくれます。尊敬される人は、その重要性をしっかりと認識して、皆さんが成長できるように支援してくれます。
③話し手の状況に応じて判断してくれる(いつも相手目線)
人の話をまずしっかりと聞いてくれる:まずは、相手が何を考えて話してくれているのかをしっかりと考えてくれます。話を聞く際は、必ずしも解決に導く必要がない場合もあり、聞いてもらえただけで救われることも多々あります。
自分に都合の悪い話でもしっかりと聞いてくれる:尊敬される人は、同僚や後輩、部下が自身に責任が及ぶような失敗をしてしたときでも、目を背けません。なぜなら、今の失敗は未来の成功であると分かっているからです。そのため、話を聞いてくれる際も、まずは相手の努力をねぎらってくれ、敬意をもって接してくれます。
話し手が答えを出せるように問いかけ導いてくれる:これはコーチングの技術でもありますが、尊敬される人は、何でも解決策を示す訳ではありません。それを続けたら、皆さんが解決策をご自身で導くことができなくなり、成長を支援することができないことを知っているからです。そのため、皆さん自身が解決できるように、質問を繰り返して、導いていくということをしています。
皆さんの意見を踏まえて判断してくれる:1人の意見だけではなく、他の人の意見も聞いて、総合的に判断することができます。1人の声が大きい人の意見が、チームや組織の総意や少なくとも多くの人が良いと考えている答えではないことを分かっているからです。更に、すごい人になると、意見を踏まえて合意形成を図るために、皆さんが参画(コミット)した形でプロセスを踏んで判断することができます。
先を見通しつつも即決してくれる:いつも皆さんの意見を踏まえて判断できれば良いですが、緊急対応や問題が生じた場合には、解決策を導くのに時間がかかりすぎます。尊敬される人は、話し手がどのような性質の問題を抱えているのかを瞬時に判断し、即決が必要な場合には、自身の結果を基に解決策を提示することができます。
これらを見て、どう思いますか?結局のところ、全てが相手目線です。相手や問題の特性に応じて優先順位を設定し、優先順位が高い課題の解決にふさわしアプローチを選定することに優れています。
そして、尊敬される人は、とにかく本人が楽しそうです。皆さんに寄り添って話を聞いて、導くことに喜びを感じています。これは、甘いのではなく、社会や会社、組織、チームの成長に必要なことがそれだと理解しているからです。そんな人は、魔法のように皆さんを一緒に働きたい気持ちにさせてしまいます。大物感や器の大きさ、余裕感があるので、組織外の人も、その人に魅力を感じてしまいます。
今すぐに行動できる上手な聞き方・話し方4選
以上のことを踏まえると、尊敬されない人と尊敬される人は、真逆のアプローチを取っていることが分かります。これは、上司や先輩にして欲しいことでもありますが、同僚と仕事をしている限りは、全員に必要なスキルでもあります。そこで、皆さんにも今すぐに行動できる上手な聞き方・話し方4選について解説していきます。
①聞き方を相手目線に変えてみる(表情・うなずき・姿勢・笑い・感嘆・称賛)
相手の話を聞くときは、せっかちになったり、結論を急いだりせずに、丁寧に聞いて安心感を与えることが重要です。まずは困った時に、力を抜いて、本音ベースで話をしてもらえるような環境を作ることが重要です。
聞き方としては、ムッとした表情ではなくて話にきてくれてありがとうという嬉しさを示すことが重要です。深刻な話であれば、しっかりと受けとめて寄り添ってあげることが大切です。また、相手の意見に対して、面白い話ならしっかりと面白いといい、話のよい点に焦点をあてて感嘆し、称賛することができると、相手は更に気を許していろいろと本音を話してくれるようになります。筆者自身も経験がありますが、信頼してもらえる瞬間は気づくことができ、嬉しくてしかたがないものになります。
②話し方も相手目線に変えてみる(感嘆・反復・共感・称賛・質問)
拡張話法を取り入れましょう。拡張話法とは、感嘆・反復・共感・称賛した上で、質問をするというものです。称賛までが聞き方になり、その上で話し方が入ってきます。話しをしてもらったことへのマイナスの側面もあると思いますが、まずは、プラスの側面に焦点を絞って質問するのが良いと思います。更に、「もしこんなことを取り入れたら更によくなりませんか?」「これでメリットのあることはどんなことですか?」「これがうまくいったら、どんな効果がありますか?」などと言うだけでも、プラス面での話はどんどん発展していきます。
その上で、「もしその選択をした場合のデメリットはないですか?」「どうしたらそのデメリットはなくなると思いますか?」「メリットとデメリットを比較したら総合評価はプラスですか?その労力を割いたらコスパはどうなりますか?」とデメリットやバランスを相手に考えてもらえるように話を進めると、「否定が前提!」という会話ではなくなります。話をしていても、お互い楽しいし、甘えなんてものは超越して、建設的になれませんか?
③4Dワードは使用しない(でも・だって・どうせ・ダメ)
建設的な話をするのに、意見を受けて、でも・だって・どうせ・ダメなんて会話をしていたら前に進めますか?これは是非、皆さん禁止にしましょう。4Dワードを回避するのに、効果的なアプローチがあります。それは、時間軸と空間軸を変えることです。今は難しいけと、何年か後にはできる可能性がある。全体で考えると難しいけど、この分野に特化したらできる可能性がある。こういった視点で考えるだけで、今はダメでも、未来にそして分野を変えれば達成できる可能性を残すことができます。
④話しやすい人・大切な人から始めてみる
このような取り組みは、どんな人を対象に始めたらよいでしょうか。苦手な上司にするのは時期尚早です。そんな高いハードルをいきなり超えようとしないでください。まずは、話しやすい人や大切な人から始めてみましょう。ハードルが低ければ、達成できる可能性は明らかに高まります。相手のことをよく知っているから、背景や経緯も話しやすいので、仲間になってくれる可能性もあります。このように、低いハードルから始めて、成功体験を蓄積し、仲間を増やすことができれば、大きなムーブメントを起こすことができる可能性も高まります。
もしかしたら、「そんなこと言っても、うちのチームや組織はリーダーがダメだから無理だよ」なんて言葉も届いてきそうです。それはでは空間的な視点を変えて、分かり合える同僚と始めてみるとしたらできそうですか?時間的な視点からは、今は分かり合える同僚から始めて、数年先には他部署で分かってくれる人を巻き込んだら広げられる可能性があると考えるというマインドセットの転換が重要です。
劇的に変化させる必要はありません。皆さん自身でできる小さなことから行動していくことが何より重要です。積み重ねの力を甘くみてはいけません。恐ろしいパワーを秘めており、多くの人にとって、成功できる可能性が高いアプローチです。
筆者自身もまだまだであり、頑張って継続して取り組んでいきます。皆さんとともに頑張って、一人でも多くの方が仕事に働きがいや働きやすさを得ることができるきっかけになれば嬉しいです。ともに頑張っていきましょう!