はじめに
皆さんは仕事で顧客や上司に質問をするのは上手ですか?「はい!」と答えた皆さんは具体的にどこが上手だと言えるのか明確に答えられますか?もちろん意識して取り組んでいる結果として、上手な人は明確に答えられると思います。
それでは「いいえ!」と答えた皆さんは具体的にどこが下手で、具体的にどうすれば上手になれるのか明確に答えられますか?どうすれば上手になれるのか具体的に明確に答えられるのであれば、なぜそれをしないのかという違う議論に行ってしまいます。でも、多くの方は下手だと思う理由を具体的に説明することは、上手な理由を具体的に説明することと同じように難しくて、答えに悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。
本記事では、なぜ質問のしかたが仕事における成長を左右するのかについて成長する人としない人の具体的な例を示しながら解説していきます。その上で、上手な質問をするための思考に転換するための方法を示し、具体的な上手な質問のしかたを説明します。
なぜ質問のしかたが仕事における成長を左右するのか
結論
先に結論からいきますが次の通りです。
- 将来の成長を期待できない人…今ある問題を労力をかけずに簡単に最速で解決して仕事を終わらせるために質問をしている人です。何故なら、その人自身の次のステップにつながらないからです。
- 将来の成長を期待できる人…今ある問題を自分事として捉えて自分自身で解決する力をつけるために質問をしている人です。そして、そのような人は、次からその経験を生かして自分で答えを導きだそうと応用していきます。短期的には時間はかかりますが、中長期的には一番効率よく効果的に成長することができます。
成長できない人の質問のしかた
成長できない人は、質問が短絡的であり、相手に答えを求めます。
また、そのような人は、仕事の本質や質問を受ける顧客や上司のことは考えておらず、あくまで自分目線で物事を捉えています。例えば、自分自身が早く帰りたいから、答えだけを求めたりします。
具体的な質問としては、「これはどうすればよいですか?」「指示をください?」などになります。
質問を受ける顧客や上司の立場から例えばこのように逆質問してみるとしましょう。「あなたは、この不明な点に対して何を考え、何を調べて、どうしたらよいと思いましたか?」「あたなは、ここに答えを聞きにくる前に誰に相談しましたか?詳しい人に聞きましたか?」
私が経験した中での話ですが、このような質問をする人のほとんどが、考えたり、悩んだり、調べたりしたことを説明することができません。「調べていません」「どうしたらよいのか分かりません」「特に他の人には聞いていません」などということになります。
これを繰り返すと何が問題なのでしょうか、何故、成長を期待できないのでしょうか。それは、自分で調べたり人に聞いたりして学習して、失敗も繰り返しながら改善し、自分自身の経験を蓄積させて答えを導き出すことができるようになるためのプロセスを何ひとつしていないからです。
成長する人の質問のしかた
一方で、成長する人は、質問が思慮深く、自分で答えを導きだせるように、勉強するために質問をします。
また、そのような人は、仕事の本質や質問を受ける顧客や上司のことも考えており、更に、中長期的な視野で企業やご自身の成長を意識して質問をしています。プロジェクトの成果、顧客の満足度の向上、企業やご自身の成長を考えて、目的を達成するための最適化を図っています。
具体的な質問としては例えば「私は自分でこれが重要と思い調べて、この分野に詳しい人に聞いて、ここまでは理解できたのですが、答えを導き出そうとしても論理的に示すことができないので、相談させて下さい」となります。
確実に自分自身で答えを導き出したいという明確な意図が見えます。このような人には一緒に相談してみると、ブレインストーミングにもなるし、相手にない視点を指摘すると「その視点が完全に抜けていました。次からその視点も忘れないようにします。」などという答えが返ってきます。
このプロセスを繰り返すと、成長するであろうことは容易に想像できませんか?
上手な質問をするための良い思考へ転換させるための具体的な方法
良い思考の転換とは?
これは相手に答えを求めるのではなくて、自分自身が答えを出せるようにするための明確な意思をもって上司などに相談することです。
答えを出すのは相手ではありません、皆さん自身なのです。そして、次からそこで得られた知識や反省、失敗などを次に生かしていくことであり、それを生かす人も皆さん自身なのです。
具体的な上手な質問のしかた
①皆さん自身がしたこと、どこまで考えたのかを相手に伝える
先述していますが改めて挙げますと「私は自分でこれが重要と思い調べて、この分野に詳しい人に聞いて、ここまでは理解できたのですが、答えを導き出そうとしても論理的に示すことができないので、相談させて下さい」
皆さん自身がしたこと、どこまで考えたのかを相手に伝えることが重要です。努力した結果、最後や途中の答えを出せなくて相談してくるような人は、顧客や上司にとっても親近感がわきますし、努力が見えるので、今後の成長に期待することができます。
②具体的な資料や情報を提示して質問する
次に重要なことは、具体的な資料や情報を提示して質問をすることです。よくあるのですが、口頭で質問したり説明したりするのは実はとても難易度が高く、高度がスキルが必要です。論理的思考力、プレゼン能力、要約する能力など様々な力が必要で、実はこれができる人は、ほとんどのことを自分自身で
(コミュニケーションを取りながら)答えを導きだすことができてしまいます。
問題は、そのスキルが無い人ほど、質問や相談の際に資料や情報とセットで示さないのです。ここで提示する資料は情報は、質問をする相手にもよりますがキレイにまとめられたものが必要ではありません。どちらかというと、生データを図表化したものや一次情報です。
顧客や上司に質問する時は、作りこんだものではない図表化したものや一次情報(例えば印刷物でも可)を用いて質問をすることを心がけてみましょう。
実は、これらは皆さん自身がしたことやどこまで考えたのかを相手に伝えることをサポートできる協力な味方なのです。
おわりに
本記事では、質問のしかたが仕事における成長を左右することを具体的な例も加えながら示し、思考の転換の方法について説明してきました。
皆さん自身がしたこと、考えたことを明示するということを意識して仕事に取り込むことができれば、顧客や上司の見方が変わるだけでなく、皆さん自身が成長するために必要なプロセスを着実に踏むことができるのです。
成長は1日で飛躍するものではありません。何年もかかりますし、終わりはありません。でも、一所懸命考えて行動してきた努力から得られた知識や経験、失敗などの改善をコツコツと着実に積み重ねた人と、安直に答えだけを求めてその場その場の対応をした人と、どちらが成長すると思いますか?どちらが皆さんが望むものですか?
一人でも多くの人が、質問をする時には、皆さん自身がしたこと、考えたことを明示して、それでも分からない部分で知恵を借りて学習して、成長していければこんなに嬉しいことはありません。
筆者自身も成長をやめませんし、その努力を継続していきます。ともに頑張っていきましょう。